本上まなみの映画初主演作品。監督は『がんばっていきまっしょい』の磯崎一路。原作は直木賞作家・山本文緒の同名小説。 スーパーでアルバイトする大学生の鉄男(玉木宏)は、 時折見かける若い女性・さとる(本上まなみ)に憧れを抱いていた。ある日、 さとるが鉄男の前で貧血で倒れたことがきっかけで 交際がスタート。丘の上の家で母(藤真理子)、妹(野波麻帆)と暮らすさとるは、内気で 物静かな反面、 ドライブの最中ホテルに誘い哲男を求めるなど、 不安定な感情を持っていた。その原因は、 厳格な母親のもとで送る抑圧された生活にあった。    TVでは明るいキャラクターの多い本上まなみが、一転して心に闇を秘めた女性に扮し、微妙な心理表現に挑んでいる。ヒッチコックの『サイコ』をイメージさせる、威圧的な母親を藤真理子が演じているが、彼女が哲男の前で女をさらすシーンは、凄まじいばかりの迫力。そんな中、ひとり明るく素直なキャラクターである野波麻帆の妹が、陰々滅々となりがちなムードの作品に明るい光を投げかけており、一種の救いになっている。主題歌は鬼束ちひろの「茨の海」。(斉藤守彦)





   パリ警視庁のふたりの警視、正義感あふれるレオと野心家のドニ。かつてひとりの女性を取り合い、彼女がレオ夫人となったことから、友人だったふたりの間には深い溝ができた。次期長官候補がレオであることがおもしろくないドニ。どうしても出世したいドニは、レオが指揮をとる現金強奪事件の捜査に無理やり入ってくる。そんなとき情報屋に騙され、殺しのアリバイの片棒を担がされたレオ。やがてその一件は、ドニに勘づかれ、彼の人生を左右する事態に発展していく。    ふたりの警官の騙しあいの物語には香港映画『インファナル・アフェア』があるが、もとこういった犯罪ノワールの元祖はフランス。本作はアラン・ドロン、ジャン・ギャバンの一連の出演作を彷彿させるサスペンスだ。ひとつ歯車が狂ったせいで、転落していくレオと、彼を踏み台にすることも厭わない冷酷なドニ。友情なんてどこにもない、にらみあうふたりの男の関係は、たたずまいを見ているだけでスリリングだ。演じるのはフランスの名優ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュー。監督は本作が2作目のオリビエ・マルシャル監督。 ひとつの事件がふたりの男とその家族の人生もガラリと変貌させてしまう。その怖さと迷宮のように入り組んだ物語の巧みさに圧倒される傑作だ。(斎藤香)







●『Guy Laroche』ブランドの電子ライターです。●ギ・ラロッシュは1921年フランスのボルドー近郊のラ・ロッシュの牧畜業の家に生まれた。1949年からパリでジャン・デッセに師事。その後「クリスチャン・ディオール」に勤務し、1954年に渡米。1957年に帰国し、初のコレクションを発表。